蟹江トゥン角の不定期短編「パラレル・ダ・縁日」

パラレル・ダ・縁日

「なんだこの暑さわ!夏かよ!」と少し怒り気味で公園の木陰に佇んでいる。

2022年7月。夏である。

予定もないのに久々の休日だからという理由だけで、真っ昼間から外に出たワーカホリックなりかけのアラサーゲーマーには酷な状況だ。

自分の愚かさは無視して自然の摂理への反骨精神が口調に出てしまっている。

ゆとり教育を受けていた者達はほぼアラサーとなっており、ここまでアホ丸出しなゆとり世代もなかなかお目にかかれない。

走って近くのコンビニへ避難した。

1リットルくらいのロックアイスのパックと350の缶酎ハイを1本買い、そのままコンビニのゴミ箱の上でパックに酎ハイを注ぐ。

慣れた手捌きでゴミを捨て、もう少しで表面張力しそうなお酒を迎えに行く形で一口。

「こりゃもう縁日だ!」

口内で弾ける炭酸と共に時空が少し歪んだ。

自分の人間性と外界の刹那にいる真空状態のような“コンビニ入り口にあるゴミ箱の前”である。

このままクーラーの効いたコンビニのイートインで快適に過ごせば良いのだが、心地の良い空間はなんだか面倒なのがボンクラの合理的思考。

また外へ赴き、お酒入りのアイスパック片手に街を闊歩する。

15時の小休止であろうOLが怪訝な顔で見ている。

「ハッハッハッ!縁日で候!」

本来の縁日とはまったく関係なく、暑い昼間に飲む酒は「縁日」であり、寒い昼間に飲む酒は「酉の市」であるのが常識的発想。

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